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「リサイクルする暮らし」。簡単そうに、便利そうに思えますが、本当の意味での実践には生活の知恵や技能が必要です。そこで生活技能保有者であろう高齢者(ここでは50歳以上)のご意見を多様にいただくため、高齢者のメッカ、東は巣鴨「刺抜き地蔵」周辺、西は東大阪「石切さん」周辺にて、「リサイクルする暮らしの技能」とそれを支えた「生活道具」についてアンケートを実施しました。
高齢者の価値観は「もったいないこと」「粗末にしない」が基準。もったいないと思うことに「食べ物を捨てる・粗末にする」(13%)、「洋服・ファッション」(12%)、「使い捨ての風潮」(11%)などの声が上位にあがっていました。少し手を加えることで、そのものの価値を再生させる、別のものへ付加させることで新しい価値を生み出す。手を加えることで生み出すリサイクルではないでしょうか。
「世の中をみて『もったいない』と思うもの」のトップは「食べ物」に関することが3割(30%)、次いで「洋服・ファッション」「使い捨ての風潮」「モノを大切にしない(粗末にする風潮)」「家具・電化製品など」が各々1割前後と再生可能なモノを再生しないことへの嘆きが見受けられます。
「世の中をみて『もったいない』と思うもの」のご意見の中でよく出てきた言葉は、「捨てる」という言葉でした。また、その反対で再生が謳われている「ペットボトル・トレイ・缶」という声も5%程あがっています。これは「リサイクル」を「社会の問題」としてとらえ、個人意識が希薄となりつつある昨今に、高齢者には毎日の実生活がリアリティであり、その目には、現代社会は「モノを粗末にし、ムダが多い社会」と映っているということです。
上記「価値観」を支える土台となる生活技能は、洗濯洗剤を使わない「洗濯板で洗濯をする」が7割以上、若い世代なら簡単に捨てることが思い浮かぶ「破れやほつれを紡ぐ」「切れたゲタの鼻緒を直す」やごみとなるスーパーのパックが不要な「魚を3枚におろす」技能を6割前後の高齢者がもっていると答えています。
一般にスーパーでは切り捨てられる大根の葉っぱを7割以上(72%)の人が料理の材料に利用しており、葉っぱを捨てたり、葉っぱつき大根を買わないのはもったいないと考えています。
片方だけ穴のあいた靴下は、4人に1人(27%)が「つくろって履いている」。捨てる人の中にはその前に「靴みがき」などもう一働きに使っている声、長い間履けるような事前の工夫やこだわりがうかがえる使い方の声もありました。
もったいなくて捨てられないものは手に触れたものが大半。群を抜いて「衣類」(44%)、次いで過剰包装と非難の的となっていた「容器・包装小物」(13%)などとなっています。
調理道具(野菜・出刃・刺身包丁)、つくろい道具(裁ちばさみ・ハギレ・布地・予備のボタンなど)、大工道具(金槌・くぎ抜き)ともにほぼ2人に1人以上が現使用(最近1年間)し、男女別にみても4人に1人以上が現使用しています。
「手に入れば使いたいもの」では「おにぎりを包む竹の皮」(20%)、「湯たんぽ」(18%)、「竹の弁当箱」(13%)など、現代では使い捨てのモノが取って代わって主流となっているものが目立ちました。
「若い世代に伝えたい道具の上位は「七輪の使い方」(13件)、「蒸器」(9件)」、「大工道具」(12件)、「洗濯板」(8件)、「ナイフの使い方」(9件)。これは単に高齢者のノスタルジーではありません。「自分の手で道具を通じて工夫し、考え、創造する楽しみを伝えたい」という道具に対する意識が背景にあります。そうして自分の手を通して作った物は、やはり粗末にできなく、「もったいなくて」捨てられないようになるのではないでしょうか。
今回の調査で明らかになったのは、「捨てる」ということ自体は問題でなく、捨てるという状態に到るまでの過程で「使いこなす」という視点がない、それは自分の手を使って、道具を使い、暮らしを作っていないからです。手を加えることによって、捨てにくくなる。大切にする。つまり「粗末にしない」という意識が生まれ、それが「もったいない」という価値になっています。高齢者の生活は、「手を加える」ことで生み出されたリサイクル生活であり、古くて新しい生活であることが分かりました。個人のレベルでリサイクルをおこなう時、まず、生活の全てのものに手を加えることから始めることがポイントのようです。