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2001年の研究調査テーマとして、「単身赴任」をとりあげ、単身赴任増加の背景にある社会的変化、家族や家庭、そして仕事に対する意識変化を明らかにしながら、21世紀の夫婦・家族、そして引越文化を考えるため調査を企画・設計しました。今回は、企業の総務・人事部・単身赴任制度担当者を調査対象とし、単身赴任に対する企業担当者の意識と実態を調査いたしました。
社員の単身赴任の実態を「把握している」担当者は86%で、「ある程度把握している」を含めると97%の担当者が、社員の単身赴任の実態を把握していると回答しています。 上場別では、非上場企業よりも上場企業の方で単身赴任の把握率が低く、従業員規模別では、従業員規模が大きくなるほど単身赴任の把握率が減少しており、大企業ほど、単身赴任の実態を把握していないという傾向が表れています。
「社員に単身赴任者がいる」と回答したのは、全体で国内が95%、海外は31%でした。その割合は、上場・非上場とも同じで、従業員規模でも大きな差はありません。対象企業があらゆる業種にわたっていることを考えると、企業規模や形態に関係なく、「日本のほとんどの企業において単身赴任者がいる」と言えます。国際化という意味では、大手企業でやや単身赴任者がいる割合が高いものの、300人以下でも3割の企業で海外への単身赴任者がおり、単身赴任の国際化も企業規模に関係なく進んでいることがわかります。
全社員に占める単身赴任者の割合は、全体平均で国内が2.8%、海外が0.2%で、合計3.0%が単身赴任者でした。3%という数値は少ないようですが、我が国の正社員、約3100万人の3%では90万人に達し、ひとつの県や大都市に匹敵する規模となります。当プロジェクトの単身赴任者調査では、単身赴任者の6割が住民票を移動しておらず、行政統計の見えないところで多くの単身赴任世帯が存在していることが明らかになっており、90万人という数値は現実的なデータかも知れません。
従来、「可愛い子には旅をさせろ」ということわざの通り、経営幹部の層のキャリアアップの一環として転勤や単身赴任があり、現在も38%の企業ではキャリアアップの一環として認識されています。 しかし、それを上回るのが「事業の拡大やパラダイムの変化で市場が変化しており、その対応として組織の流動性から単身赴任もやむを得ない」という考え方で、全体の53%の企業で認識されていました。経営の合理化による見直し(25%)や、コスト削減(6%)よりも、生き残りをかけた組織の活性化の手段として単身赴任は欠かせない経営要因となっています。
「事業の拡大やパラダイムの変化で市場が変化しており、その対応として組織の流動性から単身赴任もやむを得ない」という考え方は、大企業ほど重視しており、他の経費などが削減や合理化の対象になっても、単身赴任へのコストは減らさないという方向がうかがえます。その一方で、中堅企業ではまだ、キャリア育成という意識が強く残っていました。
会社の経営要因となっている単身赴任は、経営の抜本的改革に取り組み、組織の流動化に積極的な大企業ほど単身赴任の増加の認識は高く、1000人以上の企業の52%が「今後も増える」と回答していました。その一方で、300人未満の中小企業では「減る」(28%)が、「増える」(16%)を上回っており、経営の縮小によって生き延びようとする中小企業と、組織の流動性によって活路を開こうとする大企業との意識格差が顕著に表れています。
当事者になって初めて気付くのが「単身赴任制度」です。単身赴任は仕事の内容が変わるケースは少ないため、担当者に寄せられる相談の多くは単身赴任先での生活に関する事柄でした。
海外への単身赴任者では間単に自宅へ帰れないだけに、「自宅へ帰る」ことや、海外生活の身の回り品、転勤時期などの相談が高くなっています。