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小・中学生時代の転校による心理や意識、影響を把握し、転校に関わるポジティブな側面を伝えることを目標に、首都圏・関西圏在住の小・中学生時代の転校経験者18~29才の男女を対象に定量調査をおこないました。
この調査結果が転校生となる子どもの両親をはじめ社会や学校関係者ヘ、「転校生の意識」の理解につながれば幸いです。
この調査結果では、転校経験者のうち1回の転校が62%、ほぼ2年に1回の転校になる4回の人が5%、3年に1回の転校になる3回の人が10%で、調査対象者232人の総転校回数は小・中学校の9年間で367回にのぼり、その44%が小学校低学年でおこなわれています。転校の時期のピークは3~4月で、全体の半数を占め、次いで夏休み(7~9月:25%)でした。
転校理由のトップは、「保護者の転動にともなう転校」が49.6%、「家の新築・購入や転居・移転」が 43.9%で、とくに転校の割合が減る小学6年生から中学時代に保護者の転勤にともなう転校のウェイトが高まっています。
子どもたちが転校を知ったのは全体平均87日前の約3ケ月前で、保護者の転勤の場合は平均65日で約2ヶ月前となっていますが、4人に1人は2週間を切ってから知らされたケースもあります。
転校を伝えたのは6割がお母さん。しかし転勤の場合はお父さん自身が半数を占め、転校が多い家庭ほどしっかりと父と子の話し合いがされています。
転校を知らされた時「イヤだった」が57%で、その理由として約8割が「クラスメイトや友人との別れ」を挙げています。転校前では、新しい学校や新しい生活への不安より友達と別れることのつらさが子どもたちを直撃しています。
また子どもたちの多くは友達との関係にケジメをつけた人が6割おり、仲のいい友達と遊びに行ったり、家に泊まったりといった最後の思い出作りをしている子どもが多いのが印象的でした。まさに転校することによって初めて友達の大切さを痛感する行動といえます。
転校と家族との関係については、転勤にともなう引越について「家族で揃って引越すのは当然だ」と69%が 回答しており、転校を知った時、「反発を感じた」のが33%で、そのうち10%が態度で表わしていました。
そのような子どもの反発感に考慮し、母親まかせではなく「家族全員で話し合った」家庭も多く見られました。
一方転校に関して64%は「家族兄弟の助け合いは必要」と考えており、また「母親は楽天的」と全体で 38%が答え、「母親の方が子どもより早く、新しい環境になれていました」と35%が答えるなど、母親の楽天的な姿勢が、子どもたちの新しい環境への適合に有効であることが浮かびあがっています。
転校を機に、まず転校生が考えた「早く新しい友達を作ろう」ということで、9割がうまくいったと回答しています。次いで「新しい自分に変えてみよう」と13%が考え7割の人が成功しました。また「勉強をがんばってみよう」と考えた11%の人の9割が成功しており、転校を機に積極的に自分を変えようとする意識が実証されたことになります。
とくに情報化時代に育ってきた20代の転校生たちは、転校して1ヶ月もしないうちに8~9割が新しい学校生活に慣れたという結果がでており、また、8割の人が転校にともなう生活環境の変化に適応したと答えています。しかし2割の人にネガティブな変化があり、そのうち転校が大きな要因となったのは全体で6%でした。
自分自身の転校経験を84%の人が「人格形成に影響があった」としており、転校を機に何かを考え、何かをつかんだという、ポジティブな考え方や姿勢が共通する意織として現われています。
転校経験で得たものは、「どこへ行っても生活できる」が53%、「新たな自分が見つかる」が45%、「変化に恐れては前へ進まない」が44%で、生活に対する自信と変化を恐れない姿勢などを身につけ、転校が人格形成に大いに役立っていることが伺えます。
また転校が自分と向き合うきっかけとなり、あらためて「友情」「家族」「学校」「兄弟」などの大切さを実感し、成人になって転校経験が慎重な中にも積極的で、相互を認め合いながら生活をして行こうという新しい時代の生活者像が形成されていると言えます。
今回の調査で明らかになったのは、これまで「転校」をネガティブにとらえる風潮が多く見られるなかで、転校経験が人格形成にプラス面に働くとともに、自分と向き合うきっかけづくりとなり、「友情」「家族」「兄弟」「学校」「先生」など人間関係の大切さを再発見する機会となっていることがわかります。